かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

新 盆・歳時記 ⑤

●棚場

 盆栽達のホームグラウンド、それが棚場である。陽当たり、風通し、そして面積の三拍子が揃えば申し分ないけれど、不足分は各人が創意工夫と不断の努力(家族の説得)によって補う。

 だからと言ってはナンであるが、棚場とは愛好家の性格を如実に映し出す鏡である。忙しくて「すっぴん状態」の棚場は、いくら盆栽仲間といえども見られたくないものの代表格ではあるまいか。

 「仕方がない・・・今日こそは、あの見て見ぬフリをしてきた荒涼たる一角をどうにかせねば・・・。」

●鉢合わせ

 アリさんとアリさんみたいに、ゴッツンコとかち合ってしまうようではいけない。

 樹と鉢の一体感が生まれてこその「盆栽」である。背の高さ、幹の太さ、樹形、樹種による格・・・もろもろの要素を考え合わせながら、ぴたっとハマる鉢を選ぶこともまた、この趣味の大事なポイントである。

 植え替えの折りなどに、ちょっとイメチェンをさせてみる。するとどうだろう「見ちがえたようだ」なんて言いながら、ほっぽらかしていた張本人が掌を返したように寵愛しだすから面白い。

●飾り棚・花台・卓(ショク)

 盆栽達の晴れ舞台に欠かせないのがこれである。テーブルに直置きでは、お白洲に引き出されたる科人の風情である。

 これも鉢合わせと同様、似合うものをあてがってやる必要があり、ヘタをすれば樹じゃなくて「卓を見ろ!」という、ナゾの展示会になってしまう。

 樹形と鉢と卓と、その三拍子揃ったバランスを塩梅することもまた、盆栽という趣味の力点なのだ。さて、ツバ付けていたオークションのやつは一体ナンボになっているかしらん?