かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆栽と暮らす(6) ウチの中に樹!

 盆栽を飾る。するとウチの中に一本、鉢に入った樹が鎮座ましますことになるのは当たり前のことであります。やり方は実に簡単。芽を出したり、花が見頃をむかえた一鉢を「今日はウチん中に来てよ」とばかりにラチって来て、泥などの汚れを拭いてやり、ひっくり返らない安全な場所に据えるだけ。この時にちょっとした台や、小綺麗な敷物(小さいものなら洒落たコースターなんかもよい)などをあてがってやると、なおのこと見栄えは良くなります。



 樹をウチの中に飾る。それは観葉植物の趣とも様相を異にしており、まず以て「二度見してしまう」存在感を放つこと請け合いであります。何せ外にあるものの代表格が突如家居に上がり込んでくるのですから、よくよく考えてみると「盆栽を飾る」ということは、なかなかどうしてイジョウな試みでもあるのやもしれません。

 床の間に席飾りを飾るもよし、居間のテーブルの上に小洒落た台をあてがってやって据えてみるのもよし。すると不思議なことに、普段見慣れたウチの中の空間がギュッと引き締まったように見えてくるのです。

 花を飾るのとはひと味違ったこの印象は、いったいどこから来るか・・・。盆栽はその一鉢にその樹の生き様がまざまざと表れています。鉢が彼らの生の全ての基盤であり、そこから幹が立ち上がり枝葉を繁らせ「どうだオレはここに根付いてみせているのだぞ」と言わんばかりに、一つの凄みというかオーラを発散しているように思います。

 だからこそ、その漲る緊張感が空間に張りを持たせ、そこに生活する我々人間にフレッシュな活力を分けてくれるのではないか、と私は常々樹を家居に引っ張り込みながら、つらつら愚考しているのであります。