かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅲ

 要点「だけ」をドカンと覚える。

 つまりはテストに出そうなところだけを効率的に頭へ詰め込んで、とにかくあらゆる問題のパターンを網羅して、その攻略法をガリガリ勉強していく・・・それが私のかつての勉強スタイルでした。このような「点取り虫」的な勉強は、一見すると効率的で試験に強いような印象を受けますが、今思えばここには実に危うく脆い部分が見受けられます。

 もちろん勉強する以上、覚える努力は絶えることなく続けていかねばなりません。なんなら私よりよっぽど頭が柔軟な塾生諸君の方が、記憶の面においては長けているのではないでしょうか。それでも、ここで「覚え方」を誤ったまま物量作戦あるのみで進んでしまうと、結局の所ロスが出ることになるのではないでしょうか。

 「○○だけを覚える」というスタンスは、確かに効率的で、何なら問題の字面をサラッと一瞥しただけで「イオン結合!」「レーニン!」と答えられるような仕上がりにもなるわけですが、果たしてその丸暗記した項目には「中身」がちゃんと伴っているのでしょうか。

 「イオン結合」と答えることが出来ても「電子」のやりとりの仕組みから、もっと言えば「電子配列」、「最外殻電子」の個数との関連からイオン結合のからくりを説いて聞かせることが出来るのか。「レーニン」と言っても「ロシア革命」の原因と結果を理解しなければ、名前だけ浮いてしまうわけであるし、そもそもレーニンが旗振りをした「社会主義」とは何なのか、そしてそれは「共産主義」とどう違うのか・・・。

 すべての用語、要点がまったく独立して頭に入っている「だけ」の状態では、その「中身」相互の関連が見えなくなってしまうのです。これは果たして「知識」と呼べるものでしょうか。私はそうは思いません。

 知識とは頭の中に構築するネットワークであり、知識同士の「繋がり」こそが、ちょっとやそっとでは忘れない長期記憶を可能にし、活きた知識となっていくのです。