かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育雑記帳(60) グラグラの土台 Ⅰ


●「積み木型」学習者

 「ンなこと言ったって、オモテなんて上がらねぇよ。なにせ土台が腐ってるって、この間も、そう言ってやったんだよ。」

 というのは落語でお馴染みの大工さんの台詞。この一節が私の口をついて危うく出そうになったことの発端は、とんでもない誤解に遭遇したところにありました。

 私はブログの紙面で「基礎学力」について、折にふれて語って参ったわけですが、世の中には「非積み木型」といったタイプの学力観と言うべきものが、まだまだ蔓延っているようです。

 まず以て、学力とは「積み木」のようにコツコツと積み上げていくよりほかに方法のないものだと私は信じてやみせん。積み木の構造物を高く高く積み上げて行くためには、基礎の部分である土台を揺るぎないものとしなくてはなりません。

 これこそが「基礎学力」と呼ばれるものであり、読み・書き・計算の三拍子がしっかり揃っていることではじめて、学びを深めたり、豊かな言語表現を獲得することが可能となるのです。これが、積み木で言うところの、基礎の上に積まれるパーツです。

 もちろん、ここの積み方が「特に気にせず三角を乗せてしま」ったりということでは、とうていその後が続かないわけで、基礎の上にある学びもまた、次の学びに繋がる連続性が担保された、開かれたものである必要があるでしょう。さもなくば「嗚呼、しくじった、しくじった。」というお馴染みのくだりになるのは目に見えています。

 さはれ、基礎さへ何とか形が出来ていれば、そこに「積む」という可能性が用意されているのは確かです。間違って三角を乗せてしまっても、誤って崩してしまっても大丈夫、そこには再び積み直す新たなノウハウが加わっているはずなのです。それ故、基礎の重要性を多少なりとも知っている学習者はひとまず「積み木型」と分類することが出来るでしょう。