かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆栽と暮らす(7) 飾ることの意義

 やはり盆栽は飾ってナンボ。と申しますのも、盆栽が歴とした文化芸術の一翼を担っているがためであるとともに、実のところ飾ることは愛好家的にも結構メリットが大きいと思う節が多々あるがゆえにほかなりません。



 展示会に出すにせよ、お家にちょこんと飾るにせよ、やはりそれなりの手間はかかるものです。何せ土がべったり付いた鉢を家居に取り込むわけにもいきませんし、蝿がぶんぶん飛び回っている肥料もそのままにお客さんに見せるわけにもいきません。

 つまるところ、ここで愛好家はせっせとお庭で培養している時には使わない神経を使うことになるのです。自分の樹が観てくれる人にどう見られるのか、ここがヘンだとか、もっと掃除しとけよ、と不快に思われやしないだろうか・・・。そんなこんなで、いざ飾るとなるとその樹に向けていた眼差しがまた一転するのです。

 それは自分の樹を別の角度から再考する機会、と言い換えることも可能でありましょう。いかなる学問、芸道を極めるにせよ他者のまなざしは、独我論的な硬直化を免れるために必要不可欠なのです。

 何とか苦心して鉢を磨いて、現状で一番の見栄えと化粧(用土の表替え)を塩梅して、ようやく自分の樹を飾った時の喜びは何物にも代えがたいものであります。しかしながら、飾ってみて「おっ!」と感動してしばらく経つと、また見えてくるものがある・・・。

 それこそが、次なる課題であるとともに、愛樹にとっての新たな出発点なのです。とにかく飾ってナンボ。庭にだけ押し込めて置くなんて、いやはやもったいない!