かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

育児漫遊録(34) ミルトンよさらば Ⅲ


 おかげさまで、先日我が子はついにミルトンを卒業した。つまり離乳食が開始されたのである。

 物の本によると哺乳瓶等の消毒は、離乳食の開始時期ごろまでと説かれており、ということはそろそろ何だかんだと免疫が付いてくるのが、このくらいの時期なのだろう。

 夜中に哺乳瓶が足りなくなって、眠い目をこすりこすりミルトンに漬かった哺乳瓶を上げたことが遠い昔のことのようである。そもそも哺乳瓶の量が足りていなかったのが悪いのだけれど、わが家のミルトン容器はいつも自転車操業であった。

 朝一番に私がミルトンの溶液を替えたのを知らずに、妻がもう一度新しいのを作ってしまったこともあった。これはおそらく「育児あるある」の一環ではなかろうか。

 あのトングで以て落とし蓋を取り上げ、よく漬かった清潔な哺乳瓶を取りあげる作業には、なかなか心持ちのよいものがあると同時に、自分が一瞬居酒屋のおやじになって、例のタネを出汁から上げている気分を味わったものである。

 そんな作業が無くなっても、新たな作業は陸続と発生してくる。一度スタートしてしまったら、それこそ覚悟を決めて離乳食を拵えねばならぬし、歯が生えてくれば磨いてやらねばならぬ。おそらくその各々の作業にも、先人達の工夫が詰まった便利グッツが登場してくることと思う。

 受けられる恩恵は悦んで享受し、なおかつ「いやぁ、そこまでは・・・」という丁度の塩梅で以て果ての無い「我が子のため消費」をちょっと抑制していかないことには、我が子のために残すモノも残らなくなってしまう。

 さらば、ミルトン。おかげさまで我が子は腹を壊すことも無く健やかに五ヶ月を迎えることが出来た。そして何より、ミルトンが捻出してくれた寸暇は、彼の読書タイムにあてることが叶った。

 ありがとうミルトン、そしてまた次なる子供達をその恩恵に与らせてやっておくれかし。