かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆・再考 盆栽は金持ちの趣味か?

 ご年始の特番では、ここ数年、数億なんていう盆栽が出て来て、これとお菓子で作った模造木とを見比べるコーナーがお馴染みになっています。あれを観て「盆栽ってスゲェ!」「カッケー!」という形で興味を持ってもらえるのは、愛好家として嬉しいことではあるのですが、もしかすると皆さんの中には「盆栽って、お高いのね」とか「私にゃとても」なんて思ってしまわれた方もあるのではないでしょうか。
 いやはや、それはトンだ誤解でありまして、もし世の中の盆栽愛好家の樹が、みんなあんなヤバいやつだったり、十万で一鉢なんてスカした基準がまかり通る世界だったら、とうの昔に盆栽なんて文化は廃れたか、俗悪で自閉的な趣味に堕していたことでしょう。残念ながら昨今はチャイナ・マネーの横行につき、盆栽イコール金持ちによる、金持ちのための投資の対象という風潮も強まりつつあります。なればこそ、あえて言いましょう、「盆栽は誰でも出来る」と。
 思い立ったが吉日、その日のうちにだって、盆栽は始められるのです。かなり乱暴な話、樹木に分類される植物を好きな鉢に入れて、そこに自分なりの美しさを見出だせれば、曲がりなりにも盆栽ライフのスタートなのです。ですから、気に入った樹と鉢と、この樹をいかに育てて、どんな感じにしてやろうかしら、というやる気とわくわく感さえあれば大丈夫。鉢も百円から人間国宝級、樹も全く同じでピンキリこの上ないわけですが、とりあえず最初は愛さえあれば大丈夫。
 千円札を握りしめ、ホームセンターへ駆けてゆけば、おおかたお望みのものは手に入りますし、後は出会った最愛の友を枯らさぬよう管理して、ゆっくり次なる形を相談してゆけばいいのです。針金のかけ方だったり、細かなハウツーは気になったらググったり、YouTube師匠に尋ねればだいたいこと足りますし、必要とあらば地域に潜む愛好家のコミュニティーへ飛び込んだりしてみるのも乙なものです。私の「盆・歳時記」は説明しているようでしていないところがウリであるから、あんまり実用的ではないと思いますが、樹との付き合いは人それぞれ、「ああ、この人はこんな感じで盆栽をやってるんだ」くらいの参考にしていただければ幸いです。

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