かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育雑記帳(14) 親の影法師

 教室へ通った分だけグンと成果が出る子と、そうなるまでに時間を要してしまう子。

 子供によって多少の差はあれ、親がどの程度彼らの学習に関与しているかによって、その成果は後々目に見える形で出てくるものです。

 まずは、ノータッチ型の場合、基本的に子供達の口から「お父さんが」「お母さんに」という言葉を聞くようなことはまずありません。

 しかして彼らが持参する宿題は、中がスカスカ抜けていたり、順番がバラバラであったり、果てはどこかへ紛失していたり・・・とてもじゃないけれど、家で彼らが勉強している姿というものがイメージできません。

 一方、勉強する子供達に、ご両親ないしはおじいちゃん、おばあちゃんが影の如く寄り添うご家庭は、控えめに申しても子供の粘り、打たれ強さが違うわけです。

 難所を迎えた計算に、子供がノックアウトされそうになっても、ご家庭の誰かが必ずセコンドに付いている。そして直接手助けをするというよりかは、あくまで彼らの闘志が挫けないように支えてやる。

 これこそが理想的な家庭学習の形と言えるのではないでしょうか。

 決して彼らの学習を最初から最後まで、張り付いて監視していてほしい、というわけではないのです。

 ただ、彼らがその日にどんな課題に挑戦して、どんなファイトを繰り広げたのか、そんなストーリーを日々共有し、時に激励し、時に喝を入れる。そうすることによって、子供もはじめて等身大の自分を評価してもらうことができるのです。

 だから、「ウチの子に合ったレベルの教材をさせてほしい」なんて言う親は、残念ながら何も分かっていないのです。なにせ、自分の子供をホントの意味で見ていないのですから。

 陽向の道を行く子供の影のように、彼らの視界を遮ることもなく、ただ穏やかに彼らの行く手を見守る。嗚呼、何と幸いなことでしょうか。