かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(1) 序

 盆栽というものを通じて、数多の樹と付き合って、泣く泣く別れたりして今にいたります。

 そしてそれは、盆栽を通じて出会った人々もまた同じに思うのは、私だけでしょうか。

 鬼籍に入られた方々、体の具合で足を運べなくなった方々、遠方のご子息のもとへ転居された方もいらっしゃいました。

 どの方々も、その生き様が所有している樹に表れているようで、樹を見ているつもりが、その人間を見ているような気さへしてくるわけで。それは一つの心地よい錯覚であります。

 拙ブログを中心として、これまで樹に関するエッセイを執筆して参りましたが、やはり自分の中には樹ばかりではなく、「人間」も書かねば何だか片手落ちであるような気分がありました。

 そこでこの度『盆人漫録』と銘打って、樹と関わる中で、私が出会ったり別れたりした、忘れ得ぬ人々の姿を書いておこう、いや、遺しておこうと思い立った次第です。

 読者諸氏の一興に与れば幸いです。