かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(28) 同好会と多様性

 そしてこれはこぼれ話。

 佐々木さんに例のレジュメをいただいた席上、嬉しくって早速紙面に目を走らせていたところ、佐々木さんが小走りで駆け寄って来られる。

 「宮川さん、それはどうか家で読んでくださいよぉ」と謙遜しておられるから、いやいやこれは本当に核心を突いているし、何もそんなに憚られるものではありませんよ、と返す。

 「だって、ぼくの解釈なんてアテが外れちゃってるかも知れないし、『違う!』なんて怒られちゃうかも知れないしサ。」

 いやいや、怒ったりなんかするはずがありません。寧ろ私よりはるかに年長者であるにも拘わらず、たった数年先に盆栽を始めただけの若輩者に対して、かくまで謙虚に「学ぶ」姿勢を貫徹しておられるのは、まことに素敵な美徳に他なりません。

 いざという時に及んで、私はこんなふうに謙虚な学びができるかしら。もしかするとプライドみたいなものが邪魔をして、ここぞという「学ぶ」機会を逸してしまうやもしれない・・・佐々木さんの姿を通して、私もまた大いに考えさせられるところがあったわけです。と、そんな所へつかつか歩み寄ってきた御仁があります。

 「ほいず、何っさ?」とあけすけな感じでレジュメを指さしたのは、誰やらん佐々木さんの相棒である大場氏であります。何事も大胆でざっくばらんな大場氏は、まさに佐々木さんと対照的なお人柄。

 「これは、宮川さんに前に頂いたのを自分なりにまとめてみたものでさぁ」という佐々木さんの説明を半分だけ聞きながら、「おれは、そいな細かい字はダメだおん」と笑っておられる。

 これぞ多様性。私がこの同好会に通う理由の半分は盆栽ですが、もう半分はここに様々の経験を積んできた人々が集って「ああでもない、こうでもない」と懇談する様子が好きだからなのかも知れません。

 人の数だけ盆栽があって、その盆栽の数だけ話がある。盆栽が好きだ、という根っこの部分で繋がっておればこそ、そこに「多様性」を受け容れる場が開けるのでありましょう。ひょっとしてこれは今流行のSD某?