かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆栽教育論(10) 樹と子供の個性 Ⅰ

○樹との出会い

 「この樹をどうしようと思って買ったの?」と問われてへどもどしてしまうようでは、自分の棚場に「どうしようもない樹」ばかりが増えていく一方。愛好家の直観という名の衝動買いは、時に私もまた抗うことのできない魔力を秘めているものですが、「安いから」とか「持ってないから」という理由だけで購入を決めた樹は、概して無策のまま年月をのみ重ねていく運命になりがちなものであります。

 それ故、これは自分にもまた言い聞かせていることなのですが、樹と出会ってそれを購入する際には必ず、「この樹を将来的にどうしたいか」という計画ありきで手に入れることにしています。

 例えばそれが、手つかずの若い荒木であればなおさら、今後の計画はマストになります。将来的にどんな樹形に寄せていくか、どの枝を使い、どの枝を抜くのか、芯さはどこで止めるか、鉢はどんなものを合わせることになるのか・・・数え上げると切りがありませんが、こんな将来への投機とでも言うべき計画をこまごまと立てることもまた、盆栽をする愉しみなのです。(まぁ、商品棚の前でこんな長考をされるお店には気の毒な話ですが。)

 もちろん全ての樹が計画通りに育ってくれるわけではありません。どれだけ手をかけても枯れてしまう樹もあるし、思わぬアクシデントで樹形の要となるべき枝を失ってしまうこともあります(これは本当にツライ・・・)。やはり盆樹もまた生き物である以上、そうしたイレギュラーはある程度覚悟せねばなりません。

 だから、そこで必要となるのが「この樹はこうだから、こうせねばならない」というような強固な計画ではなくて、その樹の生育具合と調子をみながら柔軟に対応していくための、ある程度のゆとりが担保された計画なのです。

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