かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆栽と暮らす(11) 嗚呼、良かった。


 芽切りの写真を撮っておけばよかった。と毎年のことのように後悔する私は、新芽を切られてもまた不屈の営みによって二番芽を吹かせる松の樹に比べても、一向に成長していないということなのやも知れません。

 あんなに切ったにも拘わらず、棚場の松の枝先に鮮やかな黄緑の新芽がぷつり、ぷつりと見えると「嗚呼、良かった。」という気分が毎年の如く湧いてきます。この二番芽が秋にかけて成長していくわけですが、切り落とした今年の一番芽に比べやや小ぶりになるところがポイント。

 成長期の真っ盛りで一度リセットをかけられるものですから、次の芽は半分の成長期分しか葉を伸ばすことができないのです。そのおかげで松は「締まった」形を維持することが可能となり、全体的なサイズもそのままに保てるのです。



 写真は七月中旬に芽切りを行った松に確認された新芽であります。樹精が良ければ一つの芽跡から二つの芽がふくなんてラッキーもあり、「締まった」樹形に芽数の多さが伴えば鬼に金棒、いよいよその盆樹の格も上がるというものです。

 この異常な暑さもあり「出なかったらどうしましょう」と危惧していたところに届いた嬉しい報せ。しかしながら本当にホッとしているのは、アブナイ橋を渡らせられた彼らであって、今頃はきっと「どうしましょう、じゃねぇよ。ともあれ嗚呼、良かった。」と一息ついていることでしょう。

 植物というものは、本当にタフであります。

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