かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

蝸牛独読(9)「西の魔女が死んだ」を読む#1


 塾生の読書感想文に付き合って、恥ずかしながらこの年になってようやく読む機会に与ったのが、この梨木香歩西の魔女が死んだ』であります。

 生きている人の小説を数えるほどしか読まない私にとって、その存在はもちろん書店や人々の口から聞いて知っていましたが、そんな作品ほど読む機会には疎くなるもので・・・。

 読んでみてまず「上手にまとまってるな」と思いました。なんて書いては小学生の感想文の足元にも及ばぬわけですから、私なりにこのテクストの気になった点をいくつか〈読む〉ことにしてみようと思い立った次第です。
 

 クラスの人間関係にまつわる煩わしさから、学校に通うことが「苦痛」になりはじめたまいは、「西の魔女」こと「おばあちゃん」の住む片田舎でしばらく暮らすことになります。そこでの一ヶ月あまりの生活を通して、まいはおばあちゃんから「意志の力」や「精神力」といった「魔女」としての手ほどきを受けることに。

 果たしてまいは「ヒガシノマジョ」になり得たのでしょうか。もし、彼女がおばあちゃんの言う「魔女」になり得ているとするならば、これは一つの成長物語(ビルドゥングス・ロマン)として見ることが出来るはずです。

 だとすると、まいの「成長」はどのような点にあって、なおかつその契機となったもの、あるいはそれを象徴的に物語る事象がテクストの中には隠されているはずです。

 鍵となるのはテクストの表題にも掲げられる〈死〉とそれを乗り越えていく営みを如何に読み解していくのかという点にあります。読書感想文でお困りの方々の一助になれば(?)幸いであります。ただし、拙論を引用する場合は引用元を必ず明記すること!

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