2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧
1.ウソをついてもイイですか? 私たちは嘘を付いてはいけない、と教えられて育ちます。そりゃそうです。子供たちが学校で嘘のスキルばかり磨いた日には、将来何を信じてよいのだか分からない世の中が到来して、猛烈な社会不安の嵐が吹き荒れることでしょう…
私が通った大学は毎年、大規模な人数が前期と後期に分かれてぞろぞろ教育実習へ行くので、とにかく夏休みが長かったのです。ですからその間は、蒸し風呂みたいな東京をすたこら離れて、秋風がだいぶ冷たくなるまで帰省していました。もちろんぶらぶらばかり…
長く付き合っている樹でも、ある朝クリアな頭で眺めた途端「あ、この枝いらねぇじゃん」となることがよくある。人間の美的センスなんてものは、ずいぶん流動的で時間と共に移ろったり戻ってきたりするものらしい。 さて、災難であるのは樹の方である。よく言…
DJは日暮れてやって来る。長く顔を見なかった時などは「ゴブサタしてまーす」と言って教室へ入ってくる。全く腰の低いDJである。すらりとした体格に、少しだぼだぼめの、いまめきたるTシャツを合わせて、これがなかなかキマッている。そうした方面に対…
そういえばうちの学校にはもうひとつ軍隊が常駐していました。向こうはこっちを「イモ」とか「ガリ勉」と呼び、こっちは向こうを「女ガリバー」とか「アッコさん」と揶揄する間柄でした。彼女たちは新しくて立派な方の体育館を根城にしていて、朝昼晩にわた…
「ぼくねぇ、帰ったらユーチューブみるんだ」と幼稚園児が言う時代になった。確かにそれについて否定するわけではないのだが、彼の台詞は次のように続くのである。 「寝るまでみてるよ。あとね、お休みの日はねぇ、ずっとみてる」なるほど休日の過ごし方は人…
1.なぜ書けなくなるのか 「見る前に飛べ」というタイトルの小説がありますが、作文を書くにあたってけっこう多いのがこのタイプ。そんな子に限って、説明も途中に「もう書いてイイの?」なんて、やたら意気込んでいる。だから、それならひとつやってみろと…
どこか遠くへ行ったら、ウチに帰ったときのことに思いを致し、公文へやってきたら一刻も早くウチに帰るために奮闘する。それが子供のホンブンというものではないだろうか。 いつだってウチは安全基地であり、お母さんに今日のことを報告するまでが、彼にとっ…
NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」を〈読む〉試みの、第二弾としてお送り致します。 二、るいと英語 この物語の中で最も陰影深く語り出されるのが、安子と稔の娘「るい」でしょう。父親の顔を知らない彼女は幼少期に母安子と決別し、長じて間もなく父方の…
ワークショップだとか、きららかなるイベント毎にはとかく尻込みする私であるが、選挙とか町の健康診断だとか公の行事には、なぜか大手を振ってでかけてゆく。何がそんなに面白いのかは、我ながら不明であるが、たぶんあの、次、次・・・とシステマティックに捌…
効率重視、これを日常の人間関係だとか、趣味において追求してしまうと、たちまち友達をなくしたり、メンドウの中にこそ存在していた面白みが失われたり、何かと弊害が多いものです。 しかしながら、ことお勉強に関しては話は別です。学生でいられる時間とい…
みなさんは「効率厨」という言葉をご存じでしょうか。これは主にオンラインゲームなどのマルチプレイにおいて、最大級の効率を求めようとするあまり、他のプレーヤーの顰蹙を買う類いの人々を指す用語です。ゲームに精神の個室を求める私は、三十年来のぼっ…
ここに一つの真理がある。 傷のない壁はいつまでも美しいが、ほんの少しの瑕疵がこの壁をたちまちダメにする。 ある日、教室のトイレのクロスに指の痕がついた。はじめは誰かが誤って付けた引っ掻き痕だと思っていたのが、だんだん横へ延びてきた。日を追う…
小さい頃よくテレビで取り立て屋が「借金返せヤ!」なんてドラマをやっていました。だから借金とは、いかにしたら返せるものか親に尋ねたところ、とにかく一生懸命仕事して返さなくてはならないし、そもそも返せない借金をしてはならぬ、と教えられたもので…
市議会議員選挙だか何だかしらないけれど、やたらめったら選挙カーが街中を走リ回っている。よくも衝突したり、対立候補同士で殴り合いの喧嘩にならないものだといつもヘンな感心ばかりさせられる。いや、むしろああして大々的に街中を練り歩くのだったら、…
以前、わが私塾の作文教室で子供たちに、最近行ってきたという「遠足の思い出」を一つ選んで書くよう注文したところ、案の定大半の子たちが例のテンプレ的な無味乾燥レポートを提出してきました。そこでもっと、どれか一つのエピソードを膨らまして「コレだ…
〈読む〉こととは、ひとつのテクストを分析し、解釈を生産する試みです。それはテクストに使用された言葉を用いて、新たな意味を生成するクリエイティブな作業である反面、ともすれば恣意的な独りよがりに陥りかねない危険性も孕んでいます。頼るべきは、自…
「お前さん、今度小学校にあがるんだろう?」「うん、そうだよ、こんど一年生になるよ。」「お前さんくらい勉強が進んでる子は、同じ学年にゃ、そうそういないだろうよ。」「うん、だってさ、ぼく引き算の筆算やってるしね。」「左様。ほめられた時には、き…
いまだ盆も明けたばかりというのに、そこにはコスモスが咲いていて、朝な夕なにはその高原に涼やかな風が吹きおりた。ここへきて幾日目になるだろうか。雄々と聳える岩手山が照りかえしてくる健康的な朝日は、収容された人々の目にはまばゆ過ぎた。われわれ…
生徒諸君、作文は好きですか? 私は昔、作文がキライでありました。それはなぜかと申しますと、ひとえにツマンナかったからに外なりません。 では、どうしてツマンナイのでしょうか。それはたぶん、みなさんが原稿用紙をしかつめらしいテンプレ文型で埋めな…
今日は獺祭ボーイがいない。先日ワクチンを打ったので頭が痛くて来られないのだそうだ。だから今日は私だけ机の上をぶっ散らかしていて、何だか心細い。諸君、そんなに私の解答書とプリントの山をじろじろ見ないでいただきたい。共犯者の不在はこの片付けら…
パソコンを覗き込んでいる妻に「なんかちょっと最近、このシリーズ、あなたの思い出に傾いてきてない?」と言われて、ドキリとする土曜日の午後。当初は教室だよりに載せるから書け、と言われて書いていたのが、いつの間にか能動的に書き進めるようになって…
高校を卒業してしばらくは、鳴子の温泉へつかりに行くのになぜかしらん、心がうきうきしてこなくて困りました。国道47号。この道をあの鉢巻して五十キロに及ぶ行軍訓練をしたのです。目的は精神鍛錬。あまりの苦しさから江合にかかる橋の欄干に取りすがり…
「間」が抜けているのは、子供を待ってやれない親のみならず、教員にだっている。そして彼らは沈黙する子供を前にべらべらと性懲りもなく、空滑りするコトバを吐いて得々としている。言葉のシャワー? いや、これは意味が違う。親の代弁が子供の言葉の世界を…
聞く耳をもたない子供の親に限って、尋ねてもいないことをずっと喋っている。子供が何か話そうとしているのを遮ってまで、何をそんなに喋ることがあるのかと、いつも不思議に思う。代弁してやっているつもりなのであろうが、それはあくまで親の主観百パーセ…
気づいたら私の採点デスクの最寄りの席に、消しゴム男爵が座っていた。え? いつ来たの? ってなくらいのステルス性能である。しかも既にして、泣く子も黙る四則混合をわしわし片付けているではないか。 昔とあるゲームで「五月雨斬り」というのがあったけれ…
部活動? ええ、もちろん入っていましたとも。私もクラスの皆も、進学コースの全生徒が入学と同時に「進学研究会」という、たいへんミリョクテキな部に所属していました。はぁ、それは文化部かと? まあ体より頭を酷使する点では文化部ですが、早い話が八時…
ちょうどカーブへさしかかる電車に揺られた塩梅である。一瞬静止したかに見えた上体が少し仰け反る。通りすがりざま、人の書いているプリントをのぞき込んだ目が、ひょろひょろっと泳ぐ。そうして何食わぬ顔して自分の席へ戻っていくけれど、その内心の動揺…
「教育」にしろ「盆栽」にしろ、何かを育てるためには、将来的なビジョンが不可欠であることは前回述べた通りです。そこで今回もまずは盆栽の視座にたって、教育を考えていきたいと思います。 さて、盆栽を一から創っていくためには、若木の仕立てに主眼を置…
私たち盆栽愛好家は、樹をつくるにあたり、せっせとその枝に針金を巻きます。勿論伊達で巻いているわけではありません。将来的にそうなってほしい姿をイメージしつつ、枝を下げたり方向を修正したり、時には針金をかけ渡して引っ張ったりしながら、樹を仕立…