盆栽
あの時分はまだ、今より同好会がもうちょっと賑やかでありました。 そうそう、コロナの始まる前には皆で社会福祉協議会のバスをチャーターして、お隣の山形へ研修旅行に出かけたものでした。ちょうどお薬師さまの植木市が開かれている時期で、市内の大通りに…
盆栽というものを通じて、数多の樹と付き合って、泣く泣く別れたりして今にいたります。 そしてそれは、盆栽を通じて出会った人々もまた同じに思うのは、私だけでしょうか。 鬼籍に入られた方々、体の具合で足を運べなくなった方々、遠方のご子息のもとへ転…
先日の展示会で小品の棚飾りを出展して、ひとつ気がついたことがありました。 それはお客さんの背格好によって、まず目に付いて眺める対象が異なる、ということでした。 例えば一般的な背格好の大人の場合、まず眺めてくれるのが、展示テーブルに据えた飾り…
盆栽をはじめるにあたって、何が必要でしょう? それはズバリ、愛であります。盆栽にちょっとでも興味をお持ちの方に読んでほしい「入門篇」です。
何とか無事に今年のサツキ展を終えられました。作品に添えた解説文と、実際の展示写真を掲載致します。
盆栽という文化の面白さを伝えるにはどうすればいいのか。盆栽にふれたことのない人に、「そうだ、盆栽やろう」と思わせられる展示を模索中の日々。
あの時分はまだ、今より会がもうちょっと賑やかでありました。 鬼籍に入られた方々、体の具合で足を運べなくなった方々、遠方のご子息のもとへ転居された方もいらっしゃいました。 会員の減少は、私たちの盆栽同好会ばかりに顕著な現象ではなく、まさに全国…
サツキの種類って、ポケモンより多いんです。盆栽の育て方、愛好家あるあるを紹介? する盆・歳時記。今回は季節の花、サツキ篇を掲載致します。
いま改めて、盆栽とは何か。盆栽という趣味を通して見えてくるものとは何か。そんな話題をエッセイ風に。
つい先週の同好会で、一緒に盆栽をいじっていた仲間が急逝しました。 私と半世紀分年の離れた友達。大先輩でありながら、同じ趣味を語り合えるかけがえのない友人でありました。 青々と繁った樹が、一夜のうちに立ち枯れるかのように。遺された盆栽たちは、…
孤高のぼっちプレーヤーを選ぶか、にぎやかなサークルを選ぶか。それはあらゆる趣味において提示される選択肢であるかもしれません。 せっかくの趣味なのだから、誰に気兼ねするともなく、自由に気ままに愉しむというのもアリ。同好の士という最良の話し相手…
ドラえもんのスモールライトを使って、そこらへんに生えている樹をみるみる小さくして鉢に植えたとしたら、果たしてそれは完成された盆栽になるでしょうか。 確かに、盆栽は自然を模倣して作る芸術作品です。だったら自然の樹をそのまま模倣すれば、完璧なん…
長く付き合っている樹でも、ある朝クリアな頭で眺めた途端「あ、この枝いらねぇじゃん」となることがよくある。人間の美的センスなんてものは、ずいぶん流動的で時間と共に移ろったり戻ってきたりするものらしい。 さて、災難であるのは樹の方である。よく言…
「教育」にしろ「盆栽」にしろ、何かを育てるためには、将来的なビジョンが不可欠であることは前回述べた通りです。そこで今回もまずは盆栽の視座にたって、教育を考えていきたいと思います。 さて、盆栽を一から創っていくためには、若木の仕立てに主眼を置…
私たち盆栽愛好家は、樹をつくるにあたり、せっせとその枝に針金を巻きます。勿論伊達で巻いているわけではありません。将来的にそうなってほしい姿をイメージしつつ、枝を下げたり方向を修正したり、時には針金をかけ渡して引っ張ったりしながら、樹を仕立…
筋金入りの面倒くさがりな私でも、こればっかりは「そのうちになむ」ではいられない。うららかで良い奴だと思っていた春という季節に、「植替えるか、さもなくば殺すか」の物騒な二択を突き付けられて周章狼狽、ようやく庭へ出てみるけれど、あれもこれも植…
「この黄色い砂塵のひとつひとつに佛さんがいらっしゃって」、いつかどこかで耳にして以来、この作業をするたびに思い出すフレーズである。 盆栽用土 ふるいにかけて、そしてまたふるいにかけて、ひとつひとつ不純物を除いてやって、さらに乾燥させる。今年…
盆栽との付き合いならぬ「お付樹合い」がはじまると、仕事をしている間などは、水切れを起こしていやしまいか、とか今度の週末には鋏なんか入れて風通しをよくしてやろうとか、とかくアツアツなご関係になるものです。生活がかかっているガチ勢は別としても…
ご年始の特番では、ここ数年、数億なんていう盆栽が出て来て、これとお菓子で作った模造木とを見比べるコーナーがお馴染みになっています。あれを観て「盆栽ってスゲェ!」「カッケー!」という形で興味を持ってもらえるのは、愛好家として嬉しいことではあ…
「盆栽とは?」と世の中の人々に問いかけるとします。大方の人はやはり、おじいちゃんの趣味、あるいは直感的に「波平さん!」と応えることでしょう。波平さんが日当たりの良い縁側で、松の盆栽をチョキチョキしている。たまにカツオ君が野球ボールで棚場の…
夏越し それは酷烈な季節であった。なんて文学的な述懐をこのところ毎年のように繰り返さねばならない。遮光したって地べたからの輻射を免れるわけではない。日に三度の水やりは茹で釜と化した鉢を冷まさんがためでもある。挙句の果てには鉢ごと土中に埋めて…
仕立て鉢 素焼きの鉢、あるいはダオン鉢なんて言い方をする。これに入っているのは、挿して一年、二年生の若手だったり、永らく棚場のスタメンを張ってきたけれど、惜しいかな故障につき二軍で調整中のベテランの樹だったりする。 風通しの好い快適な療養所…
樹形 水戸黄門や寅さんの物語パターンにテレビの前の我々がホッとさせられるのと同じように、盆栽にも一応基本の型がある。そしてそれが芸術を観る際のほどよい導入となってくれるのは、「型」と名付けられるものの本質である。 さはれ盆樹という盆樹が、み…
実生 イイ歳をしてガキの頃より熱心に、いや血眼になって公園のドングリを拾っている。まずは発芽するかどうか、そして如何な性分の樹が出てくるか、これもまた、かつて親しんだガチャガチャの感覚である。 およそ盆栽が市場を通して我々の手許へ渡るとなる…
針金かけ 教壇に立っていた頃より、よっぽど教育らしいことをしている。なんてことを思いつつ今日も針金をかけている。方向を修正したり、立ち上がってしまった枝を下げたり引っ張ったり、将来そうなってほしいヴィジョンが明確でなければ、いたずらに樹を疲…
盆栽との付き合いをはじめてこの方、さまざまのことに気づかされている自分があることに気づかされる。盆栽との生活、またその折々の作業にふれて、つらつら思うことを書き留めたものをご紹介申し上げます。 盆栽棚 理想の棚は波平さんのそれである。こぢん…